辞書を読む楽しさ…「辞書にはその国の歴史がつまっている」

辞書は調べるためだけにあるのではありません


辞書で意味のわからない言葉を調べますよね。「いし」という言葉を辞書で調べると漢字の言葉がいくつも出てきます。例えば、「石」や「意志」や「医師」など、その中に「遺志」という言葉があります。意味は「死んだ人が生前はたせなかったこころざし」です。


大ざっぱな計算ですが、一年ごとに100万人が亡くなっているとしたら、100年間で1億人が亡くなったことになります。現在の日本の人口は一億二千万人ほどですから、100年で今の人口ほどの人が亡くなっているのです。その方々のひとりひとりに「生前に果たせなかった志」があったとすると、これは知りたい、聞いてみたい「生前に果たせなかった志」の中身を。

100年前は1922年(大正11年)で、「赤い蝋燭と人魚」を小川未明が発表し、欧州でヒットラーが台頭し、ソビエト連邦が誕生した頃です。この頃に亡くなった方はどんな「果たせなかった志」を持っていたのでしょうか…という具合に辞書には、驚きと発見が待ち受けています。

辞書(辞典)は知識の宝庫です

一般的な国語辞典をさらにくわしくしたのが、広辞苑のような分厚い辞典です。 特に、初版には最新版にはない、過去の言葉や使われなくなったもののことが載っているので、昔のことを知る手がかりが書いてあります。


例えば、「追儺(ついな)は悪い鬼を追い払う儀式で文武天皇時代から、毎年大晦日に神社などで行われたが、近世になって節分の夜に豆をまいて禍を追い払う行事になった」そうです。節分の豆まきのことです。


「文車(ふぐるま)は文書や書籍などを収載して牛や人力で運搬するための室内運搬用屋形付板張りの車のこと」移動可能な文庫として中世日本の公家社会で広く用いられたそうです。このように知らなかったことがいっぱいです。


試しに「辞書」を分厚い辞典で調べてみると、「言葉を集め、一定の順序に並べ、その読み方・意義・語源・用例などを解説した書」となっています。現存では『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょう)』が最古のもので平安時代中期に作られた漢和辞書です。

知識は知っているだけではなく、使いましょう

スマホに充電をしておかないと、使いたい時にバッテリー切れになったら困ります。知識も充電しておかないと使いたい時に使えなくなります。

どんな知識を充電したらいいかというと、最先端のことや流行りのことでもいいのですが、自分が知らないことがいいですね。どんなジャンルのことでも知らないことはとても新鮮に感じます。

過去の歴史もそれを読むのは現代の人です。現代の人は歴史をつくった人たちとは、別の見方でこの歴史をとらえていくことになります。