絵本には、三つの要素があります
絵本は、お話し(文)と絵の二つの要素があります。
そのため、「どのようなお話しにするか」「絵はどういう絵をかくか」という、ふたつの問題をかかえています。
お話しと絵が別々の方なら、どちらか一つの問題を解いていけばいいのですが、両方をひとりでかくのは、大変です。
でもご安心ください、「恐れることはありません。慣れてくれば、お話や絵の問題も解けるようになります」とかきたいのですが、なかなか、大変なことです。
絵本にはお話しと絵の問題の他に、やっかいな事があります。
それは、一枚の紙にお話しの文を上半分に全部書いて、下半分に絵をかいたなら、絵は一枚でいいのですが、それだけではたりません。
普通の絵本を本編15画面としたら、表紙や前扉などを加えると、19枚ほどの絵を描かなくてはいけません。「我慢」と「忍耐」と「根性」という言葉が浮かんできます。
そして、もう一つ浮かんでくる言葉が「構成」です。
絵本の構成は「ああせい、こうせい」とうるさいのです
ここでいう、「構成」とは「監督」だと思ってください。
監督は、お話も客観的に読み、足りない部分にはアドバイスをします。絵にはこのお話に、どんな絵がいいかスッキリした絵が合うか、描き込んだ絵がいいかなどを考えます。
そして、1画面から15画面までの文と絵の流れを組み立てる「作画計画」をつくるのです。
ここでは読み物ではなく、絵本の中の文としてムダな文はけずることもします。「絵を生かす文、文を生かす絵」これが構成が持つ大事な役割です。
改めていうと、絵本には三つの要素があります。「お話」と「絵」と「構成」です。
絵本には、いろいろな種類があります
絵本といっても、いろいろなものがあります。それだから、おもしろいのです。
お話が主の「お話絵本」、ミニページなどで絵が変わる「絵がわり絵本」、開くと絵が飛び出してくる「仕かけ絵本」、文がなく、絵を見ることで内容を知っていく「文字なし絵本」など、仕様も様々です。
今度は、絵ガラだけをみていくと、「水彩画」「水墨画」「アクリル画」「色鉛筆画」「クレヨン画」「パステル画」「漫画風スミ線画」「CG画」「貼り絵」「実写写真」「造形写真」など、絵画の技法は、なんでも来いという状態です。
「絵本は一代の文化」です。文化は人に受け継がれていきます。今生きている人は、これからの文化にかかわり、そして、過去からこれまでに積み上げてきた文化や、変化していった文化にもふれています。
100年前に生きていた人は、100年後の今の考え方や登場してきた様々なものなどは、想像さえもしていないのです。その時代に生きた人が、その時代にあるもので文化を推し進めていっているとしたら、「今、絵本をかくなら次の時代の橋渡しになるような作品も書いていくのがいいのでは」と思います。