テーマがなくても絵本はつくれます
「テーマは自分の中にある」
絵本に限らずテーマは、童話でも、絵でも、映画でも、何か作品をつくるときにはあります。
でも、特にテーマがない作品もあります。「気の向くままに描いた絵」や「その時に、こぼれ出てきた詩」などは、作者があるテーマをもって作った訳ではありませんが、その作品を見たり読んだりする人の方がなんらのテーマを感じてしまいます。
それは作者の人がらや考え方が自然と出てきているからです。見方を変えると、こんなすてきなことはありません。テーマに悩まなくていいのですから。
「テーマはこれだ」があれば、それでつくればいいのですが、無理してテーマを考えなくても、絵本はつくれます。
テーマをかくより、思いをかきましょう
「読んだら楽しくなって笑顔になる絵本」「宝探しの冒険にわくわくする絵本」「読んだら怖くて夜一人でトイレに行けなくなる絵本」「とにかくおいしそうなお菓子がいっぱい出てくる絵本」など、絵本の内容を抽象的ではなく、具体的な表現にすれば、これは十分にテーマです。
少し視点を変えると、「読んだら、二度と読まない、読んで損したと思う絵本」「時間の流れがとてもゆっくりとした国のだらしないアヒルの話の絵本」「わがままで、聞く耳を持たないタヌキの話の絵本」などは、明るく元気ないい子の絵本とは違った、これも絵本の世界です。
作者がいつも考えていることはテーマになり、特に決めなくても、仮に決めたとしても、作者自身の生き方や考え方が反映したものとなります。それをつくりあげれば、絵本のテーマには困りません。
無理をせずに、伸びやかに翼を広げて羽ばたけるようにしておくことが大切です。
作者が何を考えていれば、テーマへの道になるのでしょうか
では、どんなことを考えればいいかというと、多角的な考え方が必要です。
例えば、道をみて考えてみましょう。いろいろなことが思い浮かぶほど、それはいいことです。
・道はどんどん続いていて、網の目のように日本中に張り巡らされている。
・道は地面にあるものだけど、海や空にも道はある。海には航路、空には航空路。
・もし道がなかったら、どうなってしまうんだろう。自由勝手に気ままに歩き回ったら…
・人の体の中にも道がある。血液の道、命令を伝える神経の道。
「何をテーマにしようか」と考えるより、「目の前のものや出き事について、どう思うか」を自分に自問自答してみてください。
なんらかの考えや思うことがあったら、それはテーマになりえます。知識をどんどん増やしてください。どんな知識でもどこかで役に立ちます。知識が増えたら、今度はその知識をどのように使うかを考えてください。そうすれば道は開けます。